ある日、とある本を読んでいて「中枢神経」という言葉が目にとまりました。
よく見ると、その中に「木へん」のついた珍しい漢字が使われていることに気づいたんです。
現在「木へん」が付く漢字シリーズを展開中ですが、これはまさに取り上げるのにぴったりな一文字だと感じました。
とはいえ、この「枢」という漢字、普段の生活の中で見かけることってあまりないかもしれませんよね。
「木へんに区」と書いて「枢」。パッと見では読み方が思い浮かばないという方も多いのではないでしょうか?
「中枢」と入力してから「中」を削るという方法で何とか変換できますが、それでも「これ、なんて読むんだろう?」と思ってしまいますよね。
そこで今回は、この「枢」という字にスポットを当てて、読み方はもちろん、意味や由来、そして人名や地名などでどのように使われているのかまで、詳しく見ていきたいと思います。
漢字の奥深さを一緒に楽しみながら、最後までお付き合いいただければうれしいです!
木へんに「区」で「枢」って読むんです!読み方・意味・由来をまるっとご紹介
あまり日常で目にする機会は少ないかもしれませんが、「枢(く)」という漢字、実はとても多彩な意味を持っているんですよね。
まずは基本的な情報から見ていきましょう。
「枢」の読み方とその意味って?
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画数:8画
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音読み:スウ
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訓読み:く・る、くるる、くろろ、とまら(いずれも日本語独自の読み方です)
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名付け読み:たる
主な意味はこちら
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とぼそ/とまら:扉を回転させるための軸部分のことですね。
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からくり・仕掛け:複雑な構造やメカニズムを表す言葉として使われます。
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要・かなめ:物事の中心や大事な部分のこと。「枢要」という熟語でも見かけますよね。
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木の名前:ニレ科の落葉樹「ハリゲヤキ」を指します。「山楡」「刺楡」なんて別名もあるようです。
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星の名前:北斗七星の一部でもあります。
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姓:日本の名字として使われることもあるんですね。
(※出典:学研『漢字源』)
…とはいえ、⑤や⑥のような意味は日常生活ではあまり出番がないかもしれません(笑)。
「くるる」って本当にある言葉なの?
「くるる」や「とぼそ」なんて、初めて聞いたという方も多いのでは?
私も「え、本当にそんな読みあるの?」と思って調べてみたら、なんと『広辞苑』にちゃんと載っていました!
くるる(枢)
① 扉の端につけた突起(とまら)を、枠にあけた穴(とぼそ)にはめて回転させる構造。扉の開閉のための仕組み。
② 戸の桟(さん)。
③ 回転の中心軸のこと。いわゆる「枢軸」ですね。
とぼそ(枢)
「戸臍(とほぞ)」の意味で、扉の突起を差し込むための穴。俗には「とまら」とも言います。
昔ながらの言葉ですが、辞書にしっかり残っているのを見ると、ちょっと感動しちゃいますよね。
「かなめ」の意味でも使われているんです
意味のひとつに「要(かなめ)」=物事の中心という使い方がありましたが、これは今でも普通に使われています。
たとえば「枢要(すうよう)」という言葉は、「重要な役割」や「中核を担う部分」なんて意味で使われていますよね。まさに「枢」が意味するところそのまま、って感じです。
書き順も意外とトリッキー?
最後に、「枢」の書き順もちょっとだけ見てみましょう。
「木へんに区」と書くわけですが、特に「区」の書き順って、勘違いしやすいポイントなんですよね。
「最後に“メ”を書く」と思っていた方、いませんか? 実はその“メ”を先に書くのが正解なんです!
細かいことかもしれませんが、正しい書き順を知っていると、ちょっと自信がつく気がしませんか?
この「枢」という漢字、最初は地味で難しそうに見えるかもしれませんが、ひとつひとつの意味を知っていくと意外な面白さが見えてくるんですよね。
漢字の世界って、本当に奥が深いです!
枢という漢字のヒミツに迫る!成り立ちや由来をじっくり解説
「枢(く)」という漢字、実はもともと「樞」という旧字体だったってご存じでしたか?
今ではあまり見かけないかもしれませんが、この漢字には、昔の人の工夫がぎゅっと詰まっているんですよね。
今回は、その旧字「樞」の形をもとに、どんなふうにこの字が生まれたのかを詳しく見ていきましょう。
「樞」はどんな構成になっているの?
「樞」は、「區(く)」という文字と「木(き)」を組み合わせてできています。
このタイプの漢字は、形声文字(けいせいもじ)と呼ばれていますよね。
形声文字というのは、音を表すパーツと、意味を示すパーツを組み合わせて作られた漢字のこと。
漢字の成り立ちを説明する「六書(りくしょ)」の中のひとつでもあります。
ここでのポイントは、
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「區」は“音”を担うだけでなく、「区切る」「曲がる」などの意味も持っていて、
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「木」は文字通り「木」や「木でできたもの」を表す記号です。
「區」がもつイメージが面白い!
「區」という字には、「限られた空間を仕切る」とか「入り組んで曲がっている」といったイメージがあります。
そこから派生して、「曲がる・湾曲している」といった意味合いにもつながっているんですよ。
この“曲がってくぼんだ形”という感覚が、やがて扉の回転軸を差し込む穴――いわゆる「とぼそ」や「くるる」など、扉を開け閉めする仕掛けに通じていったんですね。
つまり「樞」という漢字には、単に木製の部品という意味だけでなく、扉の回転を可能にする構造そのものが表されていたというわけです!
(参考:学研『漢字源』)
それにしても、「區」が単なる読みの目印じゃなくて、あの仕組みそのものの意味まで込められていたなんて、ちょっと驚きですよね。
こうやって一文字ずつ掘り下げてみると、漢字の奥深さに改めて感心しちゃいます。
知れば知るほど、漢字の世界って面白いんですよね!
「枢」って実は木の名前でもあるんです!ハリゲヤキの特徴や花言葉を紹介
「枢(く)」というと、どちらかといえば難しい漢字とか、政治・組織の中心というイメージを持っている方が多いかもしれませんね。
でも、じつはこの漢字、植物の名前としても使われているんですよ。
その植物の名前は――ハリゲヤキ。
聞き慣れない名前かもしれませんが、漢字と植物がこんなふうに結びついているなんて、ちょっと面白いですよね。
それでは、ハリゲヤキの花言葉や見た目の特徴、生態などをじっくり見ていきましょう。
ハリゲヤキの花言葉には、意外と重みがあるんです
「花言葉なんて、花が咲く植物にしかないんじゃないの?」と思った方もいるかもしれませんが、ハリゲヤキにもちゃんと花言葉があるんです。
それがこちら。
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威厳
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愛国心
ちょっと硬派でどっしりとした言葉ですよね。可憐さや優しさを感じる花言葉とは違って、どちらかというと“背筋が伸びる”ような印象です。
ちなみに、ハリゲヤキは中国や朝鮮半島が原産とされていて、そこからこういった意味が与えられたのかもしれませんね。
ハリゲヤキの見た目や特徴は?
ハリゲヤキは落葉性の広葉樹で、小さめ〜中くらいのサイズに育つ木です。日本ではあまり見かけることがないので、ちょっと珍しい存在かもしれませんね。
主な特徴をまとめると、こんな感じになります。
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高さは最大でも10メートルほど。大木にはならないタイプの木です。
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幹の表面は灰色から茶色がかった色合いで、ゴツゴツした質感が特徴的。
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枝先には鋭くて硬いトゲがたくさんあり、芽の部分がとげ状に変化して2〜10cmほどになります。
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若い枝には、ふわっとした産毛のような細かな毛がついていることもあります。
このトゲのある姿を見ると、「威厳」という花言葉もうなずけますよね。
見た目からして、“守りの木”って感じが漂っています。
しかも、この木は材質がかなり丈夫で、昔は農具や車輪のパーツなど、実用的な用途にも使われていたそうなんです。
まさに、力強さと実用性を兼ね備えた木だったんですね。
(出典:『植物の百科事典』)
ということで、今回は「枢」という漢字が持つ意外な一面――植物としての枢=ハリゲヤキについてご紹介しました。
漢字の意味って、調べてみるとほんとに奥が深いですよね。
次回は、「枢」が使われている熟語や言葉の使い方についても掘り下げていきますので、よかったらそのまま読み進めてみてくださいね!
「枢」が使われる言葉って?意味や使い方をやさしく解説します!
「枢(く)」という漢字、見た目も響きもなかなか馴染みがないかもしれませんが、実はさまざまな熟語で使われているんですよね。
ふだんの会話ではあまり登場しないかもしれませんが、ちょっと難しめの文章や政治・歴史関連の文献にはよく出てくるんです。
さっそく、「枢」を含む代表的な言葉とその意味を見ていきましょう。
① 中核をなす構造や仕組み ② 国の重要な政務や役職 | ||
枢軸 | すうじく | ① 中心・核となる部分 ② 主要な人物や要の役割 |
枢臣 | すうしん | 国家に仕える高位の家臣、大臣に相当 |
枢密 | すうみつ | ① 機密扱いの政治事項 ② 「枢密院」の略称としても使われます |
枢務 | すうむ | 国家レベルの重要な政策や業務 |
枢要 | すうよう | 非常に大切な位置や部分。「かなめ」とも言えますね |
(参考:学研『漢字源』・広辞苑)
「枢軸」や「枢密」など、社会の中心や権力に関係するような場面でよく使われていますよね。
やはり「枢」という漢字には、“物事の中心”や“重要な部分”といった意味が込められているようです。
ただ、こういった熟語はちょっと堅い印象があるので、普段の会話ではあまり登場しないかもしれませんね。
「枢木」ってなんて読むの?意外な読み方に驚き!
「枢」に関する言葉を調べていてふと目にとまったのが「枢木」という文字。
正直、「すうぼく?」とか「そうぎ?」なんて読みたくなりますよね。でも、実はこれ「くるるぎ」って読むんです。
意味としては、以前も出てきた「くるる」と同じで、扉の回転を支える仕組みのことを表しています。
ちょっと古風で音の響きにも味がありますよね。「くるるぎ」って、どこか幻想的な名前にも感じませんか?
名前としての「枢」って使われているの?
さて、こんなに奥深い意味を持つ「枢」ですが、人の名前に使われているかどうかも気になりますよね。
実際に調べてみたところ、下の名前や苗字としてこの漢字を使っている例は、かなり珍しいようです。
「これは名付けにはちょっと向かない文字なのかな…」と思ってしまうくらい、使用例が少ないんですよね。
そこで「枢木(くるるぎ)」という苗字があるかも調べてみたんですが、これもヒットせず。どうやら現実には使われていないようです。
残念ではありますが、逆に言えば、それだけ個性的でレアな漢字ともいえますよね。
まとめ|「枢」という漢字、知れば知るほど面白い!
ここまで、「枢」という漢字をいろんな角度から見てきました。
最初はちょっと難しそうな印象がありましたが、「とぼそ」「くるる」「くろろ」「とまら」など、日本語ならではの読みがあって驚かされましたよね。
まるで冗談みたいな読みもありますが、実はすべて正当な読み方なんです。
知らなかっただけで、まだまだ学ぶことがたくさんあるなと実感しました。
さらに、「枢」には仕掛けやからくりといった意味があり、そして「中枢」「枢軸」など、物事の中心や重要な要素を表す熟語にも登場します。
植物の名前(ハリゲヤキ)としての一面もあって、本当に多面的な漢字なんですよね。
漢字って、一文字でこれだけ奥行きのある世界が広がっているんですから、知れば知るほど面白くなってきますよね!
それでは、次回もまた別の漢字で新たな発見をご紹介していきますので、お楽しみに!