「そうぶんぜ」という言葉、聞いたことありますか?
普段の生活ではまず耳にしないフレーズですが、一部では「この言葉を聞いたり口にしたりすると、良くないことが起きる」と噂されているんですよね。
もともとは、ある掲示板の書き込みが発端でした。
投稿者によると、ある日たまたま「そうぶんぜ」という言葉を誰かの口から聞き、妙に引っかかったそうなんです。
意味が分からず気になって調べてみたものの、辞書やネット検索でもまったく手がかりが見つからない…。
そのあたりから、なぜか不可解な出来事が自分の周囲で続くようになったと語られていました。
怖いのはそれだけじゃないんですよね。
別の地域でも似たような証言がちらほら見られていて「この言葉、もしかして何かよくない力でもあるのでは?」と、徐々に「口に出してはいけない言葉」として扱われるようになったんです。
発音の響きに何か引き寄せるような力があるのか、それとも人の心にじわじわと影を落とす心理的な効果なのか―はっきりしたことは誰にも分かっていません。
でもこういう話ってつい気になってしまいますよね。
たった一言の意味不明な単語が、得体の知れない恐怖と結びついたときそれはもう単なる“音”ではなく、“なにか”を呼ぶ鍵になってしまうのかもしれません。
「そうぶんぜ」!夏の夜にだけ囁かれる、ちょっとゾッとする遊び
夏といえば合宿やキャンプなど、みんなで過ごす夜のイベントが定番ですよね。
昼間は元気に汗をかいて、夜は布団を囲んでこっそりおしゃべり…そんな雰囲気、きっと多くの人が経験したことがあるはずです。
その日の夜も消灯後の静かな部屋に、ぽつぽつと声が漏れていました。
そんな中、クラスのムードメーカー・ユウキが急にこんなことを言い出したんです。
「なあ、“そうぶんぜ”って、知ってる?」
突然出てきた聞き慣れない言葉に、みんなが「え?」と顔を見合わせました。
「それって何? 怖い系のやつ?」
「うん、まぁちょっとした“儀式ごっこ”って感じかな。ただし、ちゃんと真剣にやらないとダメだよ?」
そう言いながら、ユウキは小声でその“遊び方”を話し始めました。
「まず全員で輪になって、隣の人と手をつなぐ。目はつぶって、想像力を使うんだ。オレが進行するから、ちゃんと聞いてね。」
私たちは言われた通り、目を閉じてみました。するとユウキの声がゆっくりと語りかけてきます。
「今、目の前に二つのドアがあるのが見えるよね。まず右のドアを開けてみて。中には赤いちょうちんが一つぶら下がっていて、その下には、小さな“誰かの小指”がぽつんと落ちてる。」
「ちょうちんは右手で持って。小指は左手で拾って。」
その話を聞いた瞬間、私はなんともいえない嫌な感覚に襲われました。
頭の中に、なぜかその情景がハッキリと浮かんできたんですよね。でも周りはキャッキャと盛り上がっていて、私ひとり抜けるわけにもいかず…。
「次のドアを開けると、広い草原が見える。そのまま進んでいって。絶対に後ろを振り返っちゃだめ。途中で誰かに話しかけられても、知らんぷりして通り過ぎて。」
「向こうのほうに、お坊さんの姿が見えたら、そこでおしまい。見えたら、ゆっくり目を開けていいよ。」
部屋はしんと静まりかえり、誰一人として言葉を発しないまま、みんながじっと手をつないでいました。私もぼんやりと、風が吹く野原のような光景を思い描いていました。
でも――その時。
「……さむい……」
隣にいたミナミの手が、かすかに震えていたんです。汗ばんでいて冷たくて、しかも指先がピクピクと動いていて――。
「……つめたい……だれ……?」
その一言が聞こえた瞬間、背筋にゾワッと冷たいものが走りました。
「おい、待って…これ、ちょっと変じゃない?」
ユウキの声が急に焦り始め、空気がざわつき始めます。
「ミナミ!? ねえ、ミナミ大丈夫!?」「えっ、動かない……!」
ミナミは目を閉じたまま、口をかすかに開けて力なくぐったりしていました。あのにぎやかだった空間が、突然氷のように静まり返って――。
「先生呼んでくる!?」「救急車?」「これ……本当に呪いの遊びだったの……?」
誰もが青ざめていたそのとき。ミナミとユウキが顔を見合わせ、にやっと笑って――
「うっそ~~~~~!!」
と、声を揃えて爆笑し始めたんです。
しばらく、誰も何が起きたのか理解できませんでした。
「ね? 言ったでしょ、“そうぶんぜ”って、そういうイタズラなんだってば!」
「よく見て。“そうぶんぜ”を逆から読むと、“ぜんぶうそ”。全部ウソって意味なんだよ!」
そう、実は最初からユウキとミナミが仕組んでいた、ちょっとしたドッキリだったんです。
最初はみんな「なんだよー!」って大笑い。でも……それで終われば、ただの楽しい夜の思い出だったんですよね。
静けさの中で聞こえた“あの声”
夜が更け、部屋には再び静寂が戻りました。
みんなが眠りについて、明かりも消えた深夜のこと。
ふと、私は目を覚ましたんです。なんとなく、違和感があって。
そして、聞こえたんですよ。すぐ隣から、小さな声が。
「……さむい……つめたい……だれ……?」
まだ、ミナミの手が私の手を握ったままでした。冷たくて、しっかりと力が入っていて――。
でも、不思議なことに。
朝、完全に目が覚めて横を見たとき。
そこにあるはずのミナミの布団は……空っぽだったんですよね。
別の「そうぶんぜ」!記憶がズレる不気味な体験
今回ご紹介する“そうぶんぜ”のエピソードは、よくある怪談とは少し毛色が違います。
ただ怖いだけじゃなく、「あれ?話していたことと実際の出来事が違ってる…?」という、なんとも言えない違和感が残るんですよね。
本人の記憶では確かに「こう話した」「こうなった」はずなのに、周囲の人に確認すると全然違う。
まるで記憶が書き換えられたかのような感覚になる、そんなケースもあるそうです。
「そうぶんぜ」という謎めいた言葉をきっかけに、こうした現象が起こる――という話もちらほらあって、ちょっと気味が悪いんですよね。
いわゆる“ゾッとする話”というよりは、“引っかかる怖さ”とでもいうべきでしょうか。
まとめ !笑い話で終わらないこともある?
「そうぶんぜ」という言葉、一見するとただの語呂合わせや言葉遊びに思えるかもしれません。
でも、よく調べてみると、冗談では済まされないようなエピソードがいくつもあるんですよね。
軽いノリで始めたはずが、「あのときは本当にやばかった」と、真顔で語る人もいたりして。
言葉ひとつで空気が変わるのは、怪談ならではの不思議な魅力ですよね。
このほかにも、じわじわと怖さがにじみ出るようなお話をいろいろご紹介していますので、「もうちょっと見てみたいかも」と思った方は、ぜひ他の記事ものぞいてみてくださいね。